よく読む江國香織について


 いつだったか、自分のよく読む江國香織の本を「一言で説明して」と言われた際に、「基本的に不倫関係なんかが渦巻いてて、高校生からしたら嫌われそうな、ねっとりした愛情が淡々と描き続けられている本」だよ、と説明した記憶が。まぁ、実際のところ、そうである本が多い(と思われる)し、勿論そうじゃない本もあるのだけれど。


 その後、「それのどこがいいんだい?笑」と、案の定言われるわけなのですが、なんで嵌ったのかもよくわからないんですよね。一昔前に、「世界の中心で愛を叫ぶ」が流行っていたとき、黙々と、当時の自分の二倍くらいの年齢の男と女の、ドロドロした関係を、江國香織の小説のなかに見ていたし、ううん、歪んだ「大人への憧れ」の表出だったのかもしれないな。 ……登場人物の生き様に、大人と子供の境界線上の自分は、歪んだ憧れを抱いていたのかも。


 というふうに文字化すると、とてもドンヨリした空気が漂ってますが(笑)、何のことはなく、とても読んでいて穏やかな気分になれる小説が沢山あると思います。それは例えば「思いわずらうことなく愉しく生きよ(作品名)」であったり、「僕の小鳥ちゃん」では、幼児期に読んだ絵本を楽しむ気持ちを蘇らせてくれます。


 そんなわけでこれからも、
 大事な人生の1ピースであり続けるだろうな。