アクロイド殺し


◆途中まではネタばれを含みませんのでご安心あれ。
 ミステリー界じゃ色々と結末に賛否両論を生み出したと言われる女王アガサ・クリスティーアクロイド殺しを読了したので、忘れないうちに、あれこれ書き残しておこうかと。大満足のアクロイド殺しでした。借り物でなかったらライン引きまくり、付箋貼りまくりができたのに、と思うと心残りでもあります。


 新版は400ページ超あって、しかも一人の殺人しか起こらないから単調かと思っていたけれど、「書斎の死体」(アガサクリスティー)に比べれば惹き込みの強い物語で、サクサクと進む印象だったと思います。安楽椅子の問題は最後の最後までわからなかったし。賛否両論を巻き起こしたのも、まぁ、最後に到達してみればアンフェアな気もしないではないですが、現代的感性から言ったらありなんじゃないかな、と。個人的には賛成派です。笑


 ネタばれしないのはここまでなので、あらすじはアマゾンか、本屋さんで裏表紙を確認するといいと思います。ミステリーの場合は何を話してもネタばれにつながりそうで怖い……!
 アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
↑注意、あまぞんに飛びます!


◆以下、ネタばれあり◆
 はっきり言います、「うみねこ」読者にとっては、トリックの半分くらいは容易いかと。ノックスの十戒以前とは言え、客観的記述が探偵のみ可能であることを前提に「しぇぱーどさんの手記の形式」であることが見抜ければ、大枠はクリアーできるかと思います。細かい推理に必要な材料は綺麗に与えられているし、手記である以上、そこに「手記の書き手」からの真実の虚飾が載っていても何らおかしくないわけですよね。この辺のプロットを考え、まとめることができるアガサクリスティーは「女王」にふさわしいと感じざるを得ません。


 今回に至るまで、アガサクリスティーの作品はオリエント、書斎の死体、ABCと読んできましたが、アクロイド殺人が一番面白かったと思います。やはり、友人の推薦通り、アクロイド殺人を最後に取っておいてよかった……。笑 終わり方として何も解決されてない感はあるにしても、ゲーム的に、面白かったです。何度か読み返して暴く楽しみは病みつきになりますよ、とても。笑


 そして現在、「そして誰もいなくなった」へと進んでいますが……
 推理小説の醍醐味は、高貴な一度目にあるのだと思いました。